トラウマの克服の仕方
トラウマは反芻によって作られる
トラウマとは、「出来事」に「ネガティブな感情」が付着した状態で、それを繰り返し思い出すこと(反芻)によって作られていきます。

要は、反芻さえしなければ「トラウマ」にはならないのですが、ここで厄介なのが、この「トラウマ」が今世で作られたものでない可能性もあるということです。
その場合は、今世の自分は体験もしていないし反芻もしていないのに、ある特定の事柄に対して恐怖心が湧いたり、身体が拒絶反応を起こしたりすることが起こり得るのです。
しかし、どんな原因があってトラウマになっていたとしても、それを深掘りして原因探しをすることはオススメしません。
何故なら、「原因探し」と言っても、実はその行為によって「反芻」を助長させ、更にトラウマがひどくなったり、最悪の場合は心が壊れてしまうこともあり得るからです。
たとえ、そのトラウマが今世のものであろうと、過去世からのものであろうと、それはあまり重要ではありません。
大切なのは、まずは「反芻」を減らして、トラウマを再現する余裕がないほどに日常を充実させ、成功体験を積むことで、トラウマそのものを俯瞰して見つめられるようになることなのです。
そうなれば、それは「トラウマ」から「経験」へと変化し、同じことで悩むことが減ってくるでしょう。
安易なトラウマワークは危険?!
トラウマに囚われている人は、自分の意識(注意)が常にトラウマの方に向いています。
インナーチャイルドの項でも説明しましたが、どんなに「癒し」のワークを行ったとしても、注意がそちらに向いている限り、起こる出来事がトラウマやインナーチャイルドのフィルターを通して見えるようになってしまうので、永遠に癒されることはありません。

ですので、まずは注意の方向を変え、視点をフラットにしていく必要があるのです。
心理療法などでも、トラウマの治療は、トラウマそのものの深掘りをさせるということは少なく、別のところに成功体験を積ませることで、脳が占めるトラウマの割合を低くしていくというものが一般的です。
スピリチュアルでは、インナーチャイルドやトラウマをダイレクトに見つめさせるワークが溢れていますが、それらはきちんと「俯瞰した視点を獲得した人」ができる高度なワークであり、「癒されたい」と思っている人が取り組むようなものではありません。
トラウマの治療は専門家が行っても、相当な年月がかかるものもあります。
ですので、小手先のワークで解決できるほど安易なものではないことを、皆さんは知識として知っておきましょう。
注意の方向を変えていく
前章でも触れましたが、トラウマの解消には「注意の方向転換」が不可欠です。
トラウマが「反芻」によって作られているのであれば、その反芻を減らすために、別の注意の対象を見つける必要があります。
それは、楽しいことであったり、新しいチャレンジであったり、日常の喜びであったり、未来への希望であったりします。
トラウマを抱えながらそのようなことに最初から100%目を向けるのは確かに難しいかもしれません。
しかし、わずか1%でもそちらに注意を向けることができれば、そこから何かが変わるはずです。
そうやって少しずつ、自分の注意機能を鍛え、トラウマそのものを「俯瞰して」見つめられるような状態になれば、その記憶は消えずとも、トラウマは経験になり、経験は知恵になり、いつかどこかで誰かに手を差し伸べられる糧となっていくでしょう。